2026.08.26
- お知らせ
- iRICE
新潟大学、世界の食と農の未来をつなぐ 国際共創拠点へ
― iRICEを核に、ベトナム・ビンロン省との連携を新たなステージへ ―
2026年6月22日から24日にかけて、ベトナム・ビンロン省人民委員会のチャン・チー・クアン委員長をはじめ、チャビン大学の関係者が新潟大学を訪問しました。今回の来訪では、新潟大学iRICE(コメと環境の国際イノベーション共創センター)が中心となり、気候変動への対応、持続可能な稲作、人材育成、地域産業との連携をテーマに、多彩なプログラムを実施しました。
世界的な食料需給の不安定化や気候変動の進行により、農業の持続可能性は国際的な重要課題となっています。こうした中、新潟大学は、世界有数の稲作地域である新潟と、アジア有数のコメ生産地域であるベトナム・メコンデルタを結ぶ中核拠点として、研究だけでなく社会実装、人材育成、産業連携までを一体的に推進する新たな国際共創モデルの構築に挑戦しています。
今回の訪問は、その取組をさらに発展させる重要な機会となりました。
国際連携から国際共創へ
これまで新潟大学は、カントー大学およびビンロン省と連携しながら、気候変動に強いコメづくり、水田からのメタン排出削減、農業人材育成などの共同研究を進めてきました。
今回、新たにチャビン大学とのLOI(基本合意書)を締結するとともに、ビンロン省とのMOU(覚書)を更新しました。これにより、新潟大学を中心とした研究ネットワークはさらに拡大し、研究・教育・人材交流を包括的に推進する新たな協力体制が整いました。
単なる大学間交流にとどまらず、省政府、自治体、企業、生産者を巻き込んだ国際連携へ発展していることが今回の大きな特徴です。研究、政策、産業、人材育成を一体で動かす取組は国内でも珍しく、新潟大学が国際共創のハブとして果たす役割は年々大きくなっています。
iRICEが目指す「研究成果の社会実装」
2026年4月に設立されたiRICEは、次の4分野を柱として活動しています。
- 持続可能な稲作
- 温室効果ガス削減
- 農業輸出入
- 人材育成
今回の訪問期間中には、大学内での協議だけでなく、県内企業や農業法人との意見交換、現場視察も行われました。研究成果を論文で終わらせるのではなく、実際の農業現場や産業界へ展開するための具体的な議論が行われ、新潟大学が「社会の中の大学」としての役割を強化していることを示す機会となりました。
6月22日から24日の主な交流プログラム
6月22日
投資・人材交流促進セミナー
多分野の対話を次の連携へ
ビンロン省の主催により、新潟県を拠点に活動する団体・企業との意見交換会が開催されました。ビンロン省の取組と今後の発展可能性について最新情報が共有され、投資、農業、食品、環境、人材交流など、分野を横断した活発な意見交換が行われました。
この対話により、ビンロン省の課題・ニーズと、新潟側が持つ知見や事業基盤を結ぶ新たな接点が生まれました。今後の具体的な連携や協力関係の構築に向け、関係者が可能性を共有する機会となりました。


6月23日
協定を「継続」と「拡張」へ
LOI締結・MOU更新
新潟大学五十嵐キャンパスで、農業分野におけるチャビン大学とのLOI(基本合意書)を締結するとともに、ビンロン省とのMOU(覚書)を更新しました。これにより、従来から連携するカントー大学にチャビン大学が加わり、学術連携と人材交流を一層広げるための協力基盤が強化されました。
新潟大学は、ビンロン省とのMOUに基づき、気候変動に対応したコメ品種の開発、水田からのメタン排出削減、農業人材の育成などを進めてきました。本年4月に設置した新潟大学iRICEは、持続可能な稲作、温室効果ガス削減、農業人材育成、農業DXを柱に、国内外の企業、自治体、大学との連携を強化しています。今回の締結は、こうした研究・教育の成果を継続的な国際協力と社会実装へつなぐ重要な基盤となります。


6月23日
地域創生・農業人材交流ワークショップ
海外連携を新潟の農業課題へ
ビンロン省の関係者と新潟県内の農業法人が集まり、人材交流と事業促進に向けた意見交換を行いました。ビンロン省側から現地の取組と進捗が共有され、県内農業法人からはそれぞれの事業活動が紹介されました。
議論では、人材交流の推進や事業拡大に向けた課題と可能性を掘り下げ、参加した農業法人から具体的な要望や提案も共有されました。大学のキャンパスを舞台に海外の行政・大学と地域の農業現場が直接つながり、担い手不足への対応や事業連携を次の検討へ進める場となりました。


6月24日
新潟県庁訪問
地域間連携を研究・人材交流の追い風に
ビンロン省のチャン・チー・クアン人民委員会委員長一行が新潟県庁を訪れ、花角英世新潟県知事を表敬訪問しました。会談では、両地域の共通点やこれまでの友好関係を確認し、今後の交流の発展に向けて意見を交わしました。
気候変動に対応する共同研究や人材交流などの分野で、協力関係を引き続き深めていくことも確認されました。県と省による地域間交流の継続は、新潟大学が進める国際共同研究と人材交流を地域全体へ広げるうえでも重要な基盤となります。


6月24日
県内企業訪問
技術と人材を現場でつなぐ
訪問団は、株式会社新潟クボタおよび農業法人エンカレッジファーミングを訪問し、農業技術や事業運営の現場を視察しました。
先進的な農業技術や機械設備の活用事例を確認するとともに、ベトナム人材の受入れ状況や就業環境について意見を交換しました。研究・協定・人材交流を実際の技術導入や受入れ現場と結び付けることで、今後の技術交流と人材交流を具体化するための論点が共有されました。


世界と地域を結ぶ「新潟大学モデル」の実現へ
今回の3日間で示されたのは、新潟大学が単なる研究機関ではなく、世界と地域、研究と産業、大学と社会を結ぶ国際共創拠点へ進化している姿です。
新潟大学は、iRICEを中核として、世界的な課題である気候変動や食料問題に対し、研究、人材育成、産業連携を一体的に推進する国際共創拠点の形成を進めています。今後も国内外の大学、自治体、企業、生産者と連携しながら、研究成果を社会へ還元し、新潟から世界へ発信する新たな価値創造に挑戦していきます。
iRICEを中心とした取組は、新潟大学の新たな挑戦であると同時に、新潟から世界へ価値を発信するモデルケースとして大きな期待が寄せられています。
研究で世界に貢献し、社会実装で地域を変える。iRICEを核とした新潟大学の挑戦は、今まさに始まったばかりです。
